【主観で語るスポーツダイジェスト】韓国プロ野球 四死球の応酬+ロースコア展開=無間地獄 - LG 対 NC 2016KBOプレーオフ3回戦 2016年10月24日
この試合のフル動画はこちら。
3年前の2016年。俺は浪人中、韓国や台湾のプロ野球にどハマりし、予備校での授業が終わっては家の近くのマックに籠って中継を見ながら勉強する日々が続いていた。大学別模試まであと2週間というなか、韓国プロ野球KBOはポストシーズンに突入。佳境に差し掛かった2016年のKBOの、そのプレーオフ第3戦。打高と言われるKBOの中でも、歴史的なとんでもないゲームになるとは、18時のプレイボールの時点ではまだ微塵も思っていなかったのだった……。
KBOポストシーズンの仕組み
KBOは1リーグ10球団制で、9チーム×(8試合ホーム+8試合ビジター)=144試合を公式戦で戦ったのち、Aクラス、つまり上位5チームによるポストシーズンを経て優勝チームが決まる。*1
①ワイルドカード決定戦 公式戦4位 対 公式戦5位 2戦2勝で勝ち抜け。*2
②準プレーオフ 公式戦3位 対 ワイルドカード決定戦の勝者 5戦3勝で勝ち抜け。
③プレーオフ 公式戦2位 対 準プレーオフの勝者 5戦3勝で勝ち抜け。
④韓国シリーズ 公式戦1位 対 プレーオフの勝者 7戦4勝で優勝。
という仕組みになっている。今回紹介したいのはこのプレーオフ第3戦、公式戦2位のNCダイノス*3と、準プレーオフで下克上をはたした公式戦4位のLGツインズ*4の対決だった。
マサンで行われた第1戦と第2戦はいずれもNCが勝利し、早くもNCが韓国シリーズに王手をかけた中、舞台をソウルのチャムシル球場に移して、さあLGが反撃なるかという試合。
というのが前置き。では試合内容を話していこう。
試合内容
先発はLGがリュ・ジェグク。NCがチャン・ヒュンシク。NCのチャン・ヒュンシクは初回から四球を連発。どうにかそのイニングは最少失点で乗り切るが、結局2回に入っても先頭打者に四球を出し調子が上がらず、5四球1失点でマウンドを降りる。この時点で19:15、試合開始から45分が経過。
しかしこんなのは地獄の序の口でしかなかった。
NCは変わったチェ・クムカンが毎イニングで劇場を展開。4四死球と2被安打で3
,4回どちらも得点圏にランナーを置きながら、3回は自力で、4回は変わったイム・チャンミンが無失点に切り抜ける。このような行き当たりばったりの継投、そしてちょくちょく挟まれるリクエストがピタリとはまり続けてしまった。
一方LGの先発リュ・ジェグクは打者が3巡目に入って捕まり出し5回と2/3で降板。その後リリーフがタイムリーを打たれて1-1の同点となった。
そして、時刻は21:00過ぎ。尻が痛くなってくるのでこの時間には普通もう切り上げて家に帰るのだが……、
試合は2時間30分経過してまだ6回裏すら終わっていない。いや、別に、乱打戦ならね、この時間になるのも考えられるし、KBOは打高*5だからまああるあるではあるんだけどさ、
2時間半経って6回裏途中1対1だぜ?信じられる?
ラチがあかないのでマックから退散。
帰宅後。晩御飯を食べて風呂に入る前に試合を確認。イニングは8回裏。性懲りも無くLGがまた満塁のチャンスを作っていた。ってかスコアが1-1から動いていないってことは、6回裏も満塁から点が取れなかったのかよ……。だが今度はノーアウト満塁、かと思ったらヒメネスの打球はサード真正面。三塁手のパク・ソクミンが三塁ベースを踏んでから投げたため危うく1点勝ち越されるところだったが*6、リクエストで覆り併殺が成立。結局このイニングも無得点。
風呂に入って上がると、いつの間にか延長戦に突入していた。この時点で時刻は22:30。あ?まあ単語帳でも読みますか……。
その後、11回裏に4時間44分の長い戦いが終了
いやー改めて言うとね、もうこの文書くのホントつまらない。得点の動きがなさすぎる。つらい。近々訴えます。
試合が長くなった要因
圧倒的な四死球の数
四死球はNCが9個、LGが16個。合計25個というありえない展開。*7特に2回裏のLGの攻撃は
8番 チョン・サンホ 四球
(チャン・ヒュンシク降板、チェ・グムガンにスイッチ)
9番 キム・ヨンギ 中飛
1番 ムン・スンジェ 中飛
2番 イ・チョンウン 四球
3番 パ・ギョンテク 四球
4番 ヒメネス 空振
と、ノーヒットでチャンスを作り潰すという体たらくであった。
長打が少ない
11回まで試合を行ったのにも関わらず、両軍合わせて2塁打以上はLGのヒメネス*8が6回裏に打った2塁打の1本だけ。結果ランナーが各駅停車で塁に留まり続けることになり、お互いに残塁の山を築き上げた33個(LG 19個、NC 14)に従来した試合最多27個を更新した。特にLGは6度満塁のチャンスの場面を作りながら、そこから生まれたのは1点のみ。いやひどすぎ。
1,2試合目の先発の調子が良かった
マサンで行われた1回戦と2回戦はそれぞれ3-2と2-0でホームのNCが勝利したが、先発投手は
1回戦 NC:ハッカー(7回2失点) LG:ソーサ(6+1/3回無失点)
2回戦 NC:スチュワート(7+1/3回無失点) LG:ハフ*9(7回1失点)
ときっちりゲームを作り、セットアッパーとクローザー以外の中継ぎがあまりイニングを食う必要がなかったため、2連敗でもう後がなかったLGはともかく、2連勝していたNCまでもがためらいなく投手を使ってきた。まあこの継投が両軍上手くいったってのも凄いし、NCはこの中継ぎも11四死球を与えてるってのも恐ろしい話ですが。
なお、この後の第4戦でもLGは打線が振るわず3-8であっさり負け、NCに引導を渡した。一体この試合はなんだったのか。プレーオフの幕切れがあっさりすぎて全てが無為になった気分である。
つらい。見ててつらい。思い出してつらい。苦痛極まりない試合。筋書きのないドラマってこういうことにもなりかねないんだなあと思いましたけど、いやーいろいろ厳しかったね、ええ。
*1:理論上は公式戦5位でも優勝可能。
*2:4位チームに1勝のアドバンテージ有。引き分けは4位チームの勝ちと同等。
*3:日本では矢沢永吉がCMに出ていた「リネージュ」とかを作ってるゲーム会社、NCソフトを親会社に持つチーム。本拠地はマサン。9球団目の新球団として2012年に2軍リーグに加わり、翌年1軍に参入。1軍2年目の2014年にポストシーズン初進出して以降、2017年までAクラスをキープしていた。
*4:電子、化学などを中心とするLG財閥のチーム。愛称のツインズはLG本社ビルのツインタワーから。前身は放送局のMBCで、その当時からソウルを本拠地としており、チャムシル球場をトゥサン(斗山)と共同使用している。元中日のイ・ビョンギュ(李炳圭)はこのチームのレジェンドで、彼の背番号9は永久欠番。
*5:2019年シーズンからは低反発球を導入している。
*6:あーっとパク・ソクミン!なんのための前進守備だー!
*7:そのうち四球(フォアボール)がNC6個、LG13個。
*8:2019シーズンは東北楽天ゴールデンイーグルスに所属
*9:2019シーズンは東京ヤクルトスワローズに所属