【主観で語るスポーツダイジェスト】アメフトにはまり赤本を放り捨てたあの日 - NE 対 ATL 第51回NFLスーパーボウル 2017年2月6日
この試合のハイライトはこちら。(Youtubeで見てね)
Patriots vs. Falcons | Super Bowl LI Game Highlights
はじめに
「主観で語るスポーツダイジェスト」シリーズとは、筆者が勝手に生み出した自分語りのブログ記事である。「面白かったなー!」とか「めちゃくちゃ印象に残ってるから宣伝したい」と思った試合を、その時の自分の感情や状況を存分に盛り込んで紹介するという、完全なる自分語りである。無論、どの試合も名(迷)勝負であることは保証するので、ある種の読書感想文のような文が書かれているんだろうなという、そんな心持ちで最後まで見ていただけると良いと思う。
今回の「主観で語るスポーツダイジェスト」シリーズ第1弾は、2年前の第51回スーパーボウルを取り上げる。3日後には第53回スーパーボウルがキックオフだ。筆者の思い出話を、この場においてアメフトの宣伝と代えさせていただきたい。
それまでの筆者のアメフトの認識
我々ゆとり第二・第三世代にとってアメフトと言われれば、週刊少年ジャンプで連載され、アニメにもなった「アイシールド21」が真っ先に思い浮かぶ。
私立泥門高等学校に通うアメフト部「泥門デビルバッツ」主務である小早川瀬那が、パシリから逃れる際の俊足を買われて、主将の蛭魔妖一*1に強制的に選手にされるところから始まり、仲間と共に全国大会決勝(クリスマスボウル)出場を仲間達と共に目指していく物語である。中にはこの漫画の影響で日本の社会人アメフトリーグ「Xリーグ」のオービックシーガルズを応援し始めた者までいる。現実と違って攻撃と守備を同一集団が担当していたり、反則が明らかに少ないなどの細かな引っかかる点はあるかもしれないが、アメフト界に多大なる影響を与えた素晴らしい作品である。
その中でも一番の名勝負、ともするとジャンプのスポーツ漫画史上1,2を争う名勝負が、秋季関東大会1回戦の神龍寺ナーガとの対決だ。作品序盤から強豪と描かれ続け、天才阿含を中心とした抜け目時間制限ありかつターン制をとるアメフトは、お互いの実力が互角の場合スコアが「競り合う」試合が多く、最後の最後まで手に汗握るといった展開になりがちだ。アメフトにおける大逆転劇というのはとても奇異なことなのであり、それを見事に描き切ったこの一戦は2019年になった今でも伝説として心の中に残っている。
その結果、この作品に入れ込んだ俺は
- アメフトのルールは大体知ってる
- 現実にあるアメフトチームの理解度は低め
- 逆転に淡い期待を抱きがち
といった感じになっていた。まあなんともニワカ丸出しだが許してほしい。
そうした珍しいアメフトの大逆転劇が、俺が初めてがっつり現実のアメフトの試合を見たときに起こってしまうのだから、人生は面白いのである。
当時の自身の状況
2017年2月当時は浪人生で受験シーズン真っただ中。俺は4日後に控えていた某私立大学理工学部の入試に向け、自宅で前日夜と当日午前にかけて過去問を解いていた。その日は朝7時半から理科120分、その後英語を90分という行程で、13時ごろに丸つけを終え昼ご飯を食べる予定であった。
120分の理科を解き終え、休みがてら一旦テレビをつけてみる。
お?今日はスーパーボウルの日なのか。
スーパーボウルとはアメリカのプロアメフトリーグ、NFLの優勝決定戦で、アメフトボ最高の大会であり、国内最大のスポーツイベントである。*2AFCとNFCの2つのリーグチャンピオンが戦い、勝った方がその年のNFL年間優勝チームになるのだ。
ここ日本ではNHKBS1が生中継で放送していた。どうやら現在は2ndクォーターの最中のようである。
AFCチャンピオンは……、
お、NEの表記だ。
32あるNFLのアメフトチームの中でも、NE(ニューイングランド)ペイトリオッツの名だけは当時の自分でも知っていた。あの生きる伝説、QBのブレイディ(#12)が率いる超強豪チーム。スーパーボウル制覇をここまで4回成し遂げたチームの中心人物がアラフォーというのもすごい話だが、NHKが流す情報によると、プレーオフでの数々の記録は今なお彼が更新しているらしい。知れば知るほど恐ろしい話である。
対するチームは、んーどこだろうな、ATLだからアトランタか?なるほどATL(アトランタ)ファルコンズというのか。どうやらプレーオフはここまで破竹の勢いで勝ち上がり続けたらしい。攻撃力が売りのようである。にしてもファルコンズが0-14でリードか、相手にFGすら許してないとは結構ここまでワンサイドだなぁ、
とか思ってたら、
ファルコンズのセンターバック、アルフォード(#23)がパスを奪ってそのままタッチダウン。QBの投げミスなのか、ボールを受け取る側が走路をミスったのかは詳しくは分からないが、たった1つのミスでこうも簡単に守備側の選手にボールを奪われタッチダウンを決められてしまうのか。勢いとは恐ろしいものである。
いやーしかしこうも大差がつくとなかなか厳しいな。そろそろ受験本番で想定される休み時間も終わるし、英語も解いて丸つけするか。
90分後……
よし、英語解き終わった。一応テレビつけてみよう。今は4thクォーター、佳境だな。
ん?
20対28???????????
あれ、俺が消したときファルコンズが3つ目のタッチダウン取ってたから20か21点差だったよな???*3
8点差って、TDとPATで2ポイントコンバージョン決めたら6+2=8点だよな……、
追いつけるんじゃね????
いやいやまさかそれはないだろう、2ポイントコンバージョンの成功率はキックに比べて格段に低い。ましてやスーパーボウルはAFCとNFCの2リーグのチャンピオン同士が戦うゲームだ。そううまくいくはずがない……、
と思っていたその矢先、
ペイトリオッツのワイドレシーバー、エデルマンのスーパーキャッチが飛び出す。
もうとりあえず動画見てくれ、ボールが地面に触れる寸前のところでエデルマンの手が伸びてくる一部始終。カメラや照明も含めてもはや芸術と言ってもいい。ファルコンズの選手も唖然としている。いわんや観客をや。
おい、ショコラにマロン*4、ストーブの前で寝そべってる場合じゃないぞ。おそらく一世一代の超々々々ファインプレーだ。おい、鼻をなめるな、聞いてるのか。
まあ許しちゃうけどねーー!!!
いやそんなことは置いといて、これは大変なことになった。観客は無論、NHKの実況や解説までもがエキサイトしている。
もうだめだ。こうなったら過去問の優先順位などゴミ以下だ。何せ第一志望の国立でもない、そんなん解いてて何のためになる。
それよりかは今、テレビに映るこの瞬間を、目に焼き付けたい。そう思っていた時には、過去問の丸つけなど当に忘れ去られていた……。
ここからは鮮明に記憶している。何せテレビの前から一歩たりとも動いていなかった、否、動けなかったのだから。
RBのホワイト(#28)が驚異的な飛び込みでタッチダウンを決めたのち、張り詰める緊張感も何のその、タイミングをギリギリまで遅くしてファルコンズ守備のオフサイドを誘い、2ポイントコンバージョンも成功させペイトリオッツが同点に追い付いてきた。
この時ほどツイッターや掲示板の様子を見たかった時は無い。きっと4chanあたりを見れば相当な盛り上がりを目にすることが出来ただろうが、全落ちという大目玉を食らった現役の時の反省を活かし、年が明けてからはネットを絶つ努力をしていた。*5これだけはスーパーボウルを見てる最中も守れただけまだ良い方である。
そして4thクォーターが終わっても同点のまま決着がつかず、試合は延長戦に突入。*6NFLの延長戦のルールはコイントスで先攻後攻が決められ、
- 先攻のチームがTDをあげた場合は、先攻チームの勝ち。
- 先攻チームがFGの場合には後攻チームにも攻撃権が与えられ、攻撃失敗なら先行チームの勝ち、TDなら後攻チームの勝ち。
- 両チームともにFG成功、または、両チームともに攻撃失敗の場合は試合を続行し、以降は得点が入ったチームの勝ち。
つまり先攻チームのTD一発で決着が着く可能性がある。
もしかしてがありうるぞ。
その後、ペイトリオッツは相手守備陣の反則もあり、着々と敵陣方面へ。
そして最後はホワイトがエンドラインに倒れこんでTD。なんとペイトリオッツが逆転勝ちを収めてしまった。
James White Game-Winning OT Touchdown! | Patriots vs. Falcons | Super Bowl LI Highlights
すごすぎる試合だった。 英語を解き始める前の時点では到底考え得なかった幕切れ。テレビの前の俺はその光景に度肝を抜かれていた。
おっと、過去問の丸つけしなきゃな、
って、
もう12時半なんですが……。
それ以来、俺はなんやかんやでアメフトをちょくちょく観るようになった。去年はパールボウル*7の決勝戦を東京ドームで生観戦もした。弊大学のアメフト部が1部リーグに昇格したそうなので、今年は大学アメフトも観にアミノバイタルフィールドにも足を運ぼうかなと考えている次第である。
最後にもう一度言うが、第53回スーパーボウルは、NEペイトリオッツとLAラムズの対戦。3日後の日本時間2月4日(月)8時半にキックオフである。今回もNHKBS1チャンネルで生中継される。今年は果たして一体、どんなドラマが待っているのだろうか。
みんな見ようね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
試合結果
NE-ATL
1Q 0-0
2Q 3-21
3Q 6-7
4Q 19-0
OT 6-0
total 34-28